第85章 1か月の期限がもうすぐ来る

阿部蓮太郎は伏し目になり、鼻で小さく息を鳴らした。

「……うん」

「おばあさまも知ったら喜ばれるだろう。病院のほうは専門のチームがついているし、毒の件もおじいさまが調べてくださる。蓮太郎……この数年、よく耐えたな」

阿部爺さんは深く息を吐き、そう言った。

「大したことじゃないよ、おじいちゃん。縁談の件は、今すぐじゃなくていい。まずはおばあちゃんと話したい」

阿部爺さんも異論はなく、二人はしばらく仕事の話を詰めたあと、阿部蓮太郎を下がらせた。

     

同じ頃、阿部家。

バンッ、と鈍い破裂音が屋敷に響いた。

壁に掛けられていた高価な絵が、ぱたんと床へ落ちる。額縁の角が欠け、...

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